Introduction

絶滅寸前の渡り鳥を救う!?
冒険家の監督が描く、おどろきに満ちた実話から生まれた奇跡の旅
<人間がともに空を飛び、渡り鳥に“渡り”を教える>という驚くべき実話に基づき描かれた父子の冒険は、フランスで公開されるや大ヒット!環境問題に熱心な国民にも熱を持って受け入れられ、名だたる大作を抑えて2019 年のフランス映画興行収入TOP10入りを記録。フランス全土に爽やかな旋風を巻き起こした。変わり者の父親クリスチャン役を『愛しき人生のつくりかた』の監督であり、『セラヴィ!』の出演も記憶に新しいジャン=ポール・ルーヴが演じ、息子トマ役には、オーディションで数千人の中から選ばれた新人ルイ・バスケスが選ばれたほか、実力派の俳優が揃い踏み。監督は、「名犬ジョリィ」のタイトルで日本でアニメ化もされた世界的ベストセラー児童書を実写映画化した『ベル&セバスチャン』(15)で映画監督としても高く評価された冒険家のニコラ・ヴァニエ。人と動物の絆を描くことに定評のある監督が今回描くのは、国境に縛られず、ヨーロッパの大空を野鳥たちと翔け、人間と動物という種別さえも超えて紡がれる絆。他に類をみない映像美で映し出した感動巨編がここに誕生した。
人生を変える景色が、ここにある―
ヨーロッパの大空を野鳥たちと翔ける、雄大な映像美を体感せよ
本作のモデルとなったクリスチャン・ムレクは、エミー賞を受賞したBBCドキュメンタリーシリーズ「アースフライト 大空の冒険者たち(原題:Earthflight)」(11-12)や、日本でも話題を呼んだジャック・ペラン監督によるドキュメンタリー映画『WATARIDORI』(03)の制作に関わった、気象学者であり鳥類保護活動家。本作では脚本を務め、自らが夫婦ふたりで実現した無謀な挑戦をもとに、室内にこもりがちな少年トマとその父クリスチャンの心の交流を描き出した。その他にも、雁担当や飛行担当としても参加。まるで空を飛んでいるかのような浮遊感を観客にもたらす鳥たちと大空を飛翔するシーンは、劇中にも登場する超軽量飛行機(ULM)を用い撮影。他に類をみない唯一無二の空の旅を映し出した。
ABOUT Christian Moullec
クリスチャン・ムレク氏について

Story

ノルウェーからフランスへ!
人間のもとで生まれた雁たちを連れて、父と息子は“渡り”に出た
クリスチャンは一風変わった気象学者で、フランス・カマルグで雁の研究をしている。超軽量飛行機を使い、渡り鳥に安全な飛行ルートを教えるという、誰もが無茶だと呆れるプロジェクトに夢中だ。そんな変わり者の父親と大自然の中で過ごすバカンスなど、オンラインゲームに夢中な思春期の息子・トマにとっては悪夢でしかない。湿地に囲まれたWi-Fiもつながらない田舎で暇を持て余したトマは、ある出来事をきっかけにその無謀なプロジェクトに協力することに。こうして父子と渡り鳥たちの驚くべき冒険がはじまった―

Staff

監督:ニコラ・ヴァニエ
Nicolas Vanier
1962年5月5日、セネガル出身。冒険家であり、小説家、写真家としても活動。幼少期をフランスのソローニュ地方で過ごしたことから、自然の生態と動物への愛情を育んだ。これまでにドキュメンタリーを20本以上撮影・監督し、フィクション映画は本作が5作目。いずれも自然の中で、動物と人間の絆を描いている。日本のアニメ「名犬ジョリー」の原作でもある「アルプスの村の犬と少年」を映画化した『ベル&セバスチャン』(15)では世界の映画祭で喝采を浴び、フィクション映画の監督としてもその名を轟かせた。冒険家としては、彼が尊敬する作家のジャック・ロンドンに影響を受けており、これまでにアラスカ、カナダ、ラップランド、モンゴル、シベリアなどを訪れたほか、犬ぞりで北極圏を踏破している。これまでに日本で公開された主な作品は『狩人と犬、最後の旅』(06)、『ベル&セバスチャン』(13)など。本作では、同名小説も執筆・刊行している。
脚本・主人公のモデル:クリスチャン・ムレク
Christian Moullec
気象学者であり、鳥類愛好家として活動。95年に独自開発した超軽量飛行機(ULM)を用い、2羽のガンと共に初めて空を飛行。その後、鳥たちに渡りを教えるプロジェクトを開始し、00年に33羽のカオジロガンとの渡りを初めて成功させた。以来、渡り鳥の保護および繁殖、飛来ルートの指導に人生を捧げている。近年はフランスのオーヴェルニュ地方カンタルにて、ULMや熱気球に乗り野鳥たちと空を飛ぶツアー も主宰している。フランスでは、野鳥たちと空を自由に飛翔するその姿から「バードマン」の愛称で親しまれている

Cast

ジャン=ポール・ルーヴ/クリスチャン役
Jean-Paul Rouve
1967年1月26日、フランス・ダンケルク生まれ。93年にテレビシリーズ「女警部ジュリー・レスコー」で俳優デビュー。同ドラマのレヴェイユ役で人気を博すと、その後、舞台や映画で活躍。02年には『バティニョールおじさん』でセザール賞有望若手男優賞を受賞、04年にも『スターは俺だ!』で助演男優賞にノミネートされた。14年に出演した映画『愛しき人生のつくりかた』では監督も務めている。主な出演作は『ロング・エンゲージメント』(05)、『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』(07)、『アデル/ファラオと復活の秘薬』(10)、『ダリダ~あまい囁き~』(16)、『セラヴィ!』(18)など。
メラニー・ドゥーテ/パオラ役
Mélanie Doutey
1978年11月22日、フランス・パリ生まれ。クロード・シャブロルが監督し第53回ベルリン国際映画祭に正式出品された『悪の華』(03/未)、続いてフランコ政権下のバスク紛争時に数多くのテロ事件を起こした反政府組織ETAについて描いた『El Lobo』(04/未)に出演したことで注目を浴びた。06年にはアルフレッド・ド・ミュッセの戯曲を映画化した『Il ne faut jurer de rien!/何事も誓うなかれ』でセザール賞有望若手女優賞を受賞している。その他主な出演作は『フレンチ・コネクション -史上最強の麻薬戦争』(14/未)、『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』(19)など。
ルイ・バスケス/トマ役
Louis Vazquez
2004年5月13日、フランス生まれ。18年に公開されたルドヴィク・バーナード監督の映画『パリに見出されたピアニスト』(19)で俳優デビュー。俳優として主要な役を演じるのは本作が初めてとなる。

Comment

監督:ニコラ・ヴァニエ
Nicolas Vanier
絶滅寸前の動物をひとつ救うことほど人生で価値があることが、他にあるだろうか?私は映画で世界を変えようと思っているわけではないけれど、できるだけ多くの人に、世界の美しさを見せて伝えることが重要だと思っている。なぜなら、愛するものを人は守りたいと思うから。もし人が自然を愛することができたなら、自然を守るために進んで行動するようになると信じている。この映画を通じて、たくさんの人に自然の素晴らしさを伝えて、小さな一石を投じられたらと願っているんだ。

Comment

ジャン=ポール・ルーヴ/クリスチャン役
Jean-Paul Rouve
ニコラ・ヴァニエ監督は唯一無二の存在だよ。彼の人生や冒険の話は信じられないような話ばかりで、すごく勉強になるんだ。この作品でニコラに出会い、映画を通じて環境や鳥たちへの関心を高めるプロジェクトに参加できて本当に幸せだよ。この役柄のモデルとなったのはクリスチャン・ムレクだけど、映画のクリスチャンは、本物のクリスチャンとニコラを混ぜ合わせたような人物なんだ。撮影現場でニコラを観察しては、シーンの演技に役立てていたよ。

Comment

メラニー・ドゥーテ/パオラ役
Mélanie Doutey
ニコラは映画監督であり、冒険家であり、地球環境の保護活動家でもある。知的で、洗練されていて、愉快で、とても寛容だから、そんな彼に誘われた冒険なら安心して参加できる。この映画のいいところは、決して説教臭くなく観客に考えるヒントを与えてくれるところ。環境のことを考えずにはいられない今だからこそ、ストーリーを通してメッセージを伝えられるこの作品に魅了されたわ。

Comment

ルイ・バスケス/トマ役
Louis Vazquez
主要な役を演じるのは初めてだったけれど、チームのおかげで映画の素晴らしさを知ることができた。初めてクリスチャン・ムレクや雁たちと一緒に空を飛んで撮影したときは、驚きと感動で演じることを忘れるほどだったよ。撮影チームと過ごした日々はかけがえのないもので、撮影が終わって日常に戻ったときは寂しくなってしまった。気分が沈んだ時はカマルグやノルウェーでの日々を思い出して過ごしていたよ。ニコラはいつもそばにいて、僕たちに耳を傾けてくれる監督なんだ。生きた瞬間を求める監督だから、ときには自分から提案をしたり、アドリブで演じることもあったよ。

Production Note

「バードマン」クリスチャン・ムレクの挑戦
この物語は、クリスチャン・ムレクが20年ほど前に初めてカオジロガンと共に渡りに取り組んだ実話に基づく。その頃、ヨーロッパ南東部での乱獲が原因となり、それ以前からの伝統的な渡り先であったラップランドから渡り鳥たちは姿を消してしまっていた。そんな時にクリスチャンが思いついたのは、人間のもとで保護されている若い鳥を訓練し、かつて彼らが繁殖していた土地のことを人間の手で教え込んで、保護される土地へ渡らせることができないか、という突拍子もないアイデア。それが本作のモデルになったプロジェクトである<人間が渡り鳥に“渡り”を教える>という無謀な挑戦のきっかけだ。「自然に情熱を傾けているなかでも、とりわけ鳥に熱心なのはそれが自由の象徴だからだ。彼らは国境を知らない。空から見たときに彼らの眼下を流れていくどんな景色も、ずっと夢見てきたものなんだ」とクリスチャンは語る。
映画製作のきっかけ
モデルとなったクリスチャン・ムレクに、映画化と小説化を提案したところから『グランド・ジャーニー』の冒険は始まった。監督の打診を受けたニコラ・ヴァニエはまず、鳥たちと飛ぶためにクリスチャンのもとを訪れた。クリスチャンはニコラとの共通点の多さから、もっと前に一緒に仕事をしていなかったことが不思議なくらいだと言い「飛んでみないと理解できない感覚がある。この物語は私が経験したことが基になっているが、ニコラのような筋金入りの人間がいなければ、こんな映画はできなかっただろう」と話す。一方ニコラは、これまでの作品で自分の物語を語ってきたことから、他者の人生を描くということに魅力を感じたという。「何より、クリスチャンが雁のために挑戦して成功させたことを尊敬している。雁に新しい渡りの経路を覚えさせるために軽量飛行機(ULM)に乗って一緒に空を飛ぶという、少々無謀な挑戦だ。彼の熱意は “自然界に救うべきものが残っているうちに行動する” という僕の理念にも似ていたんだ。絶滅してしまってからでは取り返しがつかないからね」。こうしてクリスチャンが成し遂げた無謀な挑戦は、ニコラの手によって、映像化と小説化にむけて走り出した。
ドキュメンタリーではなく、フィクション映画である意味
これまで20本以上のドキュメンタリーを撮ってきたニコラは、「クリスチャンの物語はドキュメンタリーに最適だっただろう。でも彼の人生の冒険は、私を刺激し、フィクションとして小説や映画にしたいという欲求を駆り立てたんだ」と監督を引き受けた思いを述べた。そのなかでニコラに家族の再生を描きたいという欲求が生まれ、『グランド・ジャーニー』の骨子は築かれた。さらに、モデルとなったクリスチャンは「ドキュメンタリーは自然愛好家に好まれる形式だが、多くの観客に見てもらおうとすれば、メッセージに力を与えるためにフィクション映画であることが不可欠。巨大スクリーンで観客が渡り鳥と一緒に飛ぶことができるのは素晴らしい経験であり、どんな媒体であれ、私は情熱を共有したい」と、本作をフィクションとして完成させた理由を語った。
忘れ去られた渡り鳥たちのオアシス
環境保護が叫ばれる現代に生まれた本作の使命
本作は世界有数のフラミンゴの飛来地でありユネスコの自然保護区に指定されているカマルグと、ノルウェー北部のラップランドで撮影が行われた。クリスチャンはロケ地となったラップランドについてこう話した。「ここは、かつてカリガネガンが繁殖していた場所なんだ。この湖で繁殖していたカリガネガンはもういない。私は、この地にはもういない種と一緒に飛んでいるんだよ。かつてこの場所を飛んでいた種と一緒に飛べるのは私の特権で、最も大きな望みは、かつて鳥たちが生きていたこの場所で、私が飛ぶことを教えた鳥たちに再会することなんだ。もし彼らが共に生きることを許してくれるなら、私は鳥たちの代弁者になって、彼らを保護することの重要さを説明しなくてはならないんだ」と語る。撮影中もできるだけゴミが排出されないよう環境に配慮し撮影が進められた。
この映画をきっかけに、ニコラとクリスチャンは、300~400羽の鳥をラップランドから避難地へ移動させるという活動に取り組んでおり、すでにフランス政府やEU諸機関がそのプロジェクトに関心を示しているという。 世界的にも自然保護、環境保護が叫ばれる現代に向けて、ニコラ・ヴァニエ監督は、自然の中で人と鳥たちがつなぐ絆を瑞々しくも穏やかに描き出した。